手島圭三郎木版画絵本の原点オムサロ原生花園

手島圭三郎の原点

 手島圭三郎は、昭和10年2月8日、元紋別駅の国鉄官舎で、4人兄弟の末っ子として生を受けました。ここオムサロ湿原から海岸線を10 数キロほど南下した海沿いに、かつてあった小さな駅です。手島が4 歳までを過ごしたその地は、春にはハマナスが咲き乱れ、背後には厳かなエゾマツの森が広がり、冬には激しいブリザードとともに流氷が海を覆う場所でした。流氷が押し寄せると、それまでの海鳴りは嘘のように消え去り、氷点下20~30 度という極寒の「静寂の世界」が訪れます。
 手島は当時の記憶を、愛おしむようにこう語っています。「 雪下駄のキュッキュッと絞るような音や、馬橇のシャンシャンという鈴の音が遥か彼方から聞こえてきますし、隣駅に着いた蒸気機関車がレールを軋ませてゆっくりと近づいてくる音など、普段は聞こえないような音が枕元に届いてくるのです」
 ここオムサロもまた、1989 年に名寄本線が廃止されるまでは、すぐそこを鉄路が走っていました。海鳴り、流氷、ブリザード、背後の林、そして春のハマナスと野鳥たち。この場所に立つと、手島の鋭い感性を育んだ「原風景」が、今も鮮やかによみがえります。

 オムサロ ネイチャー・ビューハウスは、これまでもオホーツクの豊かな自然を観察する拠点として、多くの方々に親しまれてきました。 このたび、私たちは「手島圭三郎の原点」として、氏の版画作品「しまふくろうと流木」や全絵本、そしてご本人のご快諾のもと、貴重な制作資料を展示することといたしました。 自然を愛する方々に手島作品のぬくもりに触れていただくとともに、多くのファンの皆様をお迎えする、新たな「聖地」となれば嬉しい限りす。

2026 年7 月1 日      オムサロネイチャービューハウス管理者

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