絵本創作40年、40冊を振り返る
私が少年時代を過ごした北海道北見オホーツク管内には、父が鉄道員として転任し7つの駅があった。どこも村かそれ以下の寂しい田舎の風景ばかり、私の人生の中ではこの「田舎育ち」という劣等感が、生涯の負い目となる宿命ともなっていた。
幸いなことに、画家としての道を選ぶことができ、表現の中に田舎者というマイナスの感覚が、大自然の野生動物の命の感覚を研ぎ澄ましてくれる要素となったことに気づいた。両親に感謝しなければならないと思うようになった。
賑やかな街並みの土地で育っていたなら、はたして自由に絵のテーマを見つけられたかどうか、ふと感じる時がある。
初めての絵本が出来上がってきた折り、手にとって満面で喜んでくれた両親の笑顔が忘れられない。40冊の絵本ができたのは、両親のおかげと強く思う。そして、私の絵本には両親への鎮魂が込められていると言っては大袈裟だろうか。
(『増補改訂版 手島圭三郎全仕事 ~木版画で極めた聖域[原始の森]』絵本塾出版
絵本創作 40 年・40 冊を振り返るより引用)